
著者 樋口美沙緒
イラスト 街子マドカ
媒体 小説
出版社 白泉社
レーベル 花丸文庫
シリーズ 愛の巣へ落ちろ!
発売日 2017/04/19
価格 ¥720(税抜)
ISBN 9784592877455
紙書籍
電子書籍
あらすじ
たった一人で国と共に滅ぶ道を選んだ大公・シモン。 葵にも息子の空にも国や種を背負う苦しみを味わわせたくないがゆえのその選択が、シモンなりの愛だと知った葵は、彼を一人にしないために空と一緒にケルドア公国へ向かった。ところが、シモンの種を受け継いだ空は祝福されるも、ナミアゲハの葵は冷遇され、城の使用人から粗雑に扱われてしまう。それを知ったシモンは、彼らを次々と解雇しはじめる。 愛しているとは口にしない一方で、過剰なまでに葵を守ろうとするシモンの苛烈さに、葵の胸は疼き……。 淋しさと孤独を凌駕する、美しい幸福がここにある。
レビュー
シモンがどれだけ葵を愛していても、その感情が愛だと認めない様子にじれったさを感じたが、母親のようになりたくないという理由からだということが分かって納得。「愛」という定義がないのだから怖がっても仕方がない。そんなシモンが、葵が2人目を妊娠したときに、葵を喜ばせるために愛を伝える様は心にきた。言葉にしたらそれがどのような現実になるのか分からないのに。清水の舞台から飛び降りるように言ったのだろう。勇気を出して告げるシモンとその言葉を聞きたかった葵の両に共感することができた。
今回も、写真に関するエピソード。葵の母親や執事が昔の写真をとっておいてくれたこと。言葉にしなくても、そういう事実で人の愛を感じ取れる感受性があればいいと思う。