満ちるもの、その世界

満ちるもの、その世界

著者 本穣藍菜
イラスト しちみ
媒体 小説
発売日 2020/06/29
価格 700円(税込)※2020年7月までは300円

電子書籍

Amazon Kindle

Amazonの電子書籍版。Kindle Unlimited 会員は無料で読める(2020年8月現在)

あらすじ

母親に虐待されていた光希(Ω)は、両親の離婚により12年間離れていた富豪である父と、兄と、二卵性双生児の弟と一緒に住むことになった。全員がαである家族に受け入れられるか心配であったが、優しい父と兄によってその心配は払拭されていく。しかし、弟の晃希とだけはなじめないでいた。 光希を嫌っているような素振りをみせる晃希は、一方で光希から離れず、執着をしているようにもみえたが、それでも徐々に打ち解け家族として暮らしていくようになる。そんな光希は、過去に自分を救ってくれた久我山(α)を愛していたが、家族と住むために別れを選択していた。それでも、忘れることができないでいる。晃希の執着と、光希の体に染みついた愛情は混じることはなく、光希に絡みついていく。

家族への愛か、久我山への欲望か。運命か、愛情か。様々な選択肢の中で、光希は自分の道を選んでいく。

※この小説はwebで連載していたものを改稿したものです。本編の他に
・久我山エンド
・妊娠編
・出産編
が収録されています。

レビュー

評価 :5/5。

アマゾンのボーイズラブノベルズカテゴリでベストセラー1位。知らなかった作家さんだったけれど、評価も良いし、Kindle 会員は無料だし、オメガバースという設定にも魅かれて読んだ。圧巻の内容。これが読み放題ということに驚く。
心理描写がとても共感できるもので、違和感なく読み進められる。晃希と結ばれた後に久我山エンドを読んだが、光希の首を見てショックを受けた晃希が気絶したところが辛すぎた。運命の番にそんなことをされた晃希はこれからの人生、生き地獄だろうと。晃希の辛さと共鳴してしまって、これは小説なんだと自分に言い聞かせる始末。
その後、また元のストーリーに戻り、晃希と久我山が対峙した場面で久我山の印象が冷たかったことに驚き、彼の苦悩も知る。光希と結ばれなかった方には暗い未来が待ち受けているだろうけど、それでもそれが晃希だったらと思うとまた心が沈む。
光希視点が多く、上でも言ったように共感するところが多かった。言動の理由を掘り下げて分かりやすく書かれており、自分の過去と部分的に重なる。そのひとつひとつの静かな気づきが、樋口美沙緒さんの小説に似ていた。自分を見つめる角度は違うんだけど。